電話番号は「変えられないパスワード」になっている
電話をつなぐために作られた番号を、私たちは何でも開ける鍵にしてしまった。
パスワードが漏れたら、変えれば済みます。面倒ですが、それで終わりです。
では電話番号はどうでしょう。銀行、メールの復旧ページ、連絡アプリ、出前のアカウント、歯医者で書いた問診票。あちこちに登録されています。悪い人の手に渡っても、簡単には変えられません。あまりに多くの人とサービスが、その番号であなたを覚えているからです。
電話番号は不思議なものになりました。秘密のように使われ、住所のように配られ、名前と同じくらい変えにくい。
もともと想定されていなかった3つの役目
電話番号の本来の仕事は1つだけです。「この電話をどこにつなぐか」を回線に教えること。そこに、あとから3つの役目が足されました。
1. 本人であることの証明。 「お使いの電話に確認コードを送りました」。その番号の電話を持っているのは本人だけ、という前提です。多くの場合は正しいのですが、番号はスマホ本体ではなく、携帯会社の契約に結びついています。そして携帯会社は番号を別の SIM に移せます。「SIM スワップ」と呼ばれる手口では、他人が携帯会社をだまして、あなたの番号を自分の SIM に移させます。それ以降、確認コードは相手のスマホに届きます。米国の NIST(国の標準を決める機関)の指針などが、SMS のコードを認証アプリや物理キーより弱い手段として扱っているのは、こうした理由からです。
2. いろいろなサービス共通の「名前」。 ほぼ全員が持っているので、アプリは番号で人を見分けます。便利ですが、関係のない多くの名簿に同じ番号が載ることになります。いくつかが漏れたとき、番号がそれらを1人に結びつける糸になります。
3. あなたを見つける手段。 多くの連絡アプリは連絡先の一覧を読み込み、「この人も使っています」と教えてくれます。これは逆向きにも働きます。あなたの番号を知っている人なら、連絡を取りたくない相手でも、あなたがそこにいると分かります。
しかも番号は使い回される
番号を手放すと、携帯会社はいずれ別の人にその番号を渡します。昔のアカウントに古い番号が残ったままだと、新しい持ち主にあなたの確認コードが届くことがあります。10年前にどこへ番号を入力したか、全部覚えている人はいません。
今日できること
新しい道具は要りません。
- 大事なアカウントから SMS のコードをやめる。 メール、銀行、ほかのアカウントを復旧できるものが先です。認証アプリやパスキーが選べるなら、そちらに。
- 携帯会社に「番号の移転ロック」を聞く。 番号を移す前に暗証番号を求める設定ができる会社があります。
- 番号を変えるときは、先に復旧設定を直す。 まずメールから。メールは他のすべてを復旧できるからです。
- 番号を渡す前に一度考える。 お店のポイントカードに、銀行と同じ番号は要りません。
これで解決しないこと
気をつけても、すでに番号を持っているところから消えるわけではありません。番号なしでは登録できないサービスもあります。番号に乗っている重さは減らせますが、ゼロにはできません。
LILAC の立ち位置
私は LILAC という連絡アプリを作っています。電話番号の欄がそもそもありません。相手とは、QR コードを見せるか招待リンクを送ってつながり、そのリンクはあとで取り消せます。連絡先の読み込みもないので、「番号を知っているから見つかる」ことが起きません。
上の問題を直すものではありません。銀行は今後も番号を求めます。ただ、番号まで渡す必要のない連絡はたくさんあり、そういうときは取り消せるリンクで十分です。
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- くわしくは: https://lila-c.com
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